神山監督とタムラコータロー監督が好き。
I've Soundという音楽制作集団のぷち追っかけ。
■Tales of Symphonia/ロイコレ
※原作/ED後二人旅。
※原作/ED後二人旅。
Like an angel
「─── …、」
大きな蒼い瞳が揺れていた。小さな声が掠れていた。彼女のこころは怯えていた。
それ以上の言葉はなく、辛うじて耳に届いた単語はあまりにも悲しい音色で紡がれて。
本来ならば喜びを詰め込む筈のその言葉は、空虚に無惨に散っていく。
まるで、昔のような瞳。運命に囚われて消える命を、誰かの為ならと涙を呑んで祈っていた、あの頃のような、強くて弱い瞳がそこにある。
目覚めの青空は晴れやかなのに、彼女の目覚めは曇り空だ。いいや、大雨一歩手前だろうか。
寝癖のついたまま、くしゃくしゃになっている金髪が、風に靡いて舞い上がる。
彼は目を細めて、静かに手を伸ばした。
声には出さず、両腕を広げて、ただ、子どもみたいに泣きだしそうな、けれど決して涙を流さない瞳を、見つめる。
息を呑んで、彼女はくしゃり。表情をゆがめる。
安堵のような、情けなさのような、もどかしさのような。沢山の感情が見え隠れして、躊躇いをひとつ、吐息に流して。
戸惑いはなく、彼女は彼の腕の中へ。ふわりと金髪が揺れて、背中を抱き締める彼の腕にかかった。
あやすように、やさしく。
やさしく、あやすように。
「コレット、」
大切な名前を紡ぐ。今まで何度もそうしてきたように呼ぶ。これからずっと想い続ける約束を込めて、今までよりも確かに、ずっと彼女のこころに届くように、紡ぐ。
縋りつくように彼の腕の中で縮こまっていた彼女は、ようやく僅かに顔を上げた。
「俺は、おまえが好きだよ」
「…、うん」
きゅ、と指先が丸くなる。彼は片手を伸ばすと、その手に触れた。
細い指先に、自分の指を絡める。触れた素肌が心地良くて、朝を知ったばかりの指先はすこし冷たかった。
そっと見つめる。見下ろす先の彼女の瞳は、それでもまだ悲しみの蒼に染まっていた。
言葉だけで足りないなら、彼女のこころに太陽のあたたかさが満ちるまで、何度でも伝える。手段ならひとつじゃない。言葉にしなければ伝わらない想いもあるけれど、言葉にしなくても伝わる願いがある。
「コレット」
触れ合った指先を、深く絡める。
唇から紡ぐ想いを、彼女の唇に届ける。
重なった唇が、そっと離れた。
だけど、手は繋いだままで。抱き締める腕はそのままで。互いの距離をもっと、近付けて。
彼女はさらに身を寄せる。腕の中で身じろいだ様子は、どこか小動物のような愛らしさがあった。背に流れる金髪が絡まないように、そっと束ねて流してやる。
「ロイド、」
「ああ」
「ありがとう」
「ばーか。俺はいつでもおまえが好きなんだ。礼を言われることなんて、何もしてないだろ」
「うん…、ありがとう。ロイド」
こつん、額をあわせて微笑みを咲かせる。
大きな瞳に灯る蒼は、深く澄んだひかりを見せる。緩む頬は柔らかく、届く言葉は優しく、紡がれる声は安らぎをもたらす。
「好き」
大きな蒼い瞳が求めていた。小さな声は掠れていた。彼女のこころは震えていた。
それ以上の言葉はなく、辛うじて耳に届いた単語はあまりにも美しい音色で紡がれて。
本来ならば喜びを詰め込む筈のその言葉は、それだけではない感情を明らかに滲ませて、彼のこころを包み込む。
まるで天使のように純粋な彼女のこころを守るための誓いを、彼はまた、その唇に届けた。
■END
コレットはいろいろ不安があると思う。それを隠してるつもりはなくても、蓄積するものは消えてはくれないから、それは不意に零れ落ちてしまうんじゃないかなって。
ロイドはそれを全部じゃなくても分かってはいて、支えてあげたいと思ってる。
シリアス傾向にまた転び始めた…? ロイコレはほのぼのなイメージがあるけど、やっぱりシリアスあってのほのぼのだよね、なんて思ったりします。
しあわせになってほしい。笑顔でロイドの腕の中にいるコレットが見たいです。
お付き合いありがとうございました!
「─── …、」
大きな蒼い瞳が揺れていた。小さな声が掠れていた。彼女のこころは怯えていた。
それ以上の言葉はなく、辛うじて耳に届いた単語はあまりにも悲しい音色で紡がれて。
本来ならば喜びを詰め込む筈のその言葉は、空虚に無惨に散っていく。
まるで、昔のような瞳。運命に囚われて消える命を、誰かの為ならと涙を呑んで祈っていた、あの頃のような、強くて弱い瞳がそこにある。
目覚めの青空は晴れやかなのに、彼女の目覚めは曇り空だ。いいや、大雨一歩手前だろうか。
寝癖のついたまま、くしゃくしゃになっている金髪が、風に靡いて舞い上がる。
彼は目を細めて、静かに手を伸ばした。
声には出さず、両腕を広げて、ただ、子どもみたいに泣きだしそうな、けれど決して涙を流さない瞳を、見つめる。
息を呑んで、彼女はくしゃり。表情をゆがめる。
安堵のような、情けなさのような、もどかしさのような。沢山の感情が見え隠れして、躊躇いをひとつ、吐息に流して。
戸惑いはなく、彼女は彼の腕の中へ。ふわりと金髪が揺れて、背中を抱き締める彼の腕にかかった。
あやすように、やさしく。
やさしく、あやすように。
「コレット、」
大切な名前を紡ぐ。今まで何度もそうしてきたように呼ぶ。これからずっと想い続ける約束を込めて、今までよりも確かに、ずっと彼女のこころに届くように、紡ぐ。
縋りつくように彼の腕の中で縮こまっていた彼女は、ようやく僅かに顔を上げた。
「俺は、おまえが好きだよ」
「…、うん」
きゅ、と指先が丸くなる。彼は片手を伸ばすと、その手に触れた。
細い指先に、自分の指を絡める。触れた素肌が心地良くて、朝を知ったばかりの指先はすこし冷たかった。
そっと見つめる。見下ろす先の彼女の瞳は、それでもまだ悲しみの蒼に染まっていた。
言葉だけで足りないなら、彼女のこころに太陽のあたたかさが満ちるまで、何度でも伝える。手段ならひとつじゃない。言葉にしなければ伝わらない想いもあるけれど、言葉にしなくても伝わる願いがある。
「コレット」
触れ合った指先を、深く絡める。
唇から紡ぐ想いを、彼女の唇に届ける。
重なった唇が、そっと離れた。
だけど、手は繋いだままで。抱き締める腕はそのままで。互いの距離をもっと、近付けて。
彼女はさらに身を寄せる。腕の中で身じろいだ様子は、どこか小動物のような愛らしさがあった。背に流れる金髪が絡まないように、そっと束ねて流してやる。
「ロイド、」
「ああ」
「ありがとう」
「ばーか。俺はいつでもおまえが好きなんだ。礼を言われることなんて、何もしてないだろ」
「うん…、ありがとう。ロイド」
こつん、額をあわせて微笑みを咲かせる。
大きな瞳に灯る蒼は、深く澄んだひかりを見せる。緩む頬は柔らかく、届く言葉は優しく、紡がれる声は安らぎをもたらす。
「好き」
大きな蒼い瞳が求めていた。小さな声は掠れていた。彼女のこころは震えていた。
それ以上の言葉はなく、辛うじて耳に届いた単語はあまりにも美しい音色で紡がれて。
本来ならば喜びを詰め込む筈のその言葉は、それだけではない感情を明らかに滲ませて、彼のこころを包み込む。
まるで天使のように純粋な彼女のこころを守るための誓いを、彼はまた、その唇に届けた。
■END
コレットはいろいろ不安があると思う。それを隠してるつもりはなくても、蓄積するものは消えてはくれないから、それは不意に零れ落ちてしまうんじゃないかなって。
ロイドはそれを全部じゃなくても分かってはいて、支えてあげたいと思ってる。
シリアス傾向にまた転び始めた…? ロイコレはほのぼのなイメージがあるけど、やっぱりシリアスあってのほのぼのだよね、なんて思ったりします。
しあわせになってほしい。笑顔でロイドの腕の中にいるコレットが見たいです。
お付き合いありがとうございました!
PR
この記事にコメントする