神山監督とタムラコータロー監督が好き。
I've Soundという音楽制作集団のぷち追っかけ。
■Angel Beats!/ひなユイ
※第10話『Goodbye Days』の前のお話です。ネタバレ含むのでご注意下さい。
※第10話『Goodbye Days』の前のお話です。ネタバレ含むのでご注意下さい。
cross talk
雨が降っていた。
冬でもないのにその日はやけに冷え込んで、雨に濡れれば風邪を引きそうな寒さだった。
薄暗い灰色の空から落ちてくる雨粒が、校舎の窓ガラスを叩く。
今は授業中で、誰もその雨を気にしない。
ぐちゃぐちゃになったグラウンドが使えないなら、体育館を使えば済む話だ。
降り注ぐ雨は時間が経つにつれて強くなっていき、廊下から見えるグラウンドはあちこちに水溜りができていた。
このグラウンドは水捌けがあまり良くないのだ。
死後の世界のくせに、妙なところで無駄に現実と同じ、無駄で無能だ。
そんなことを考えながら、日向は誰も居ない廊下を歩いていた。
まともに授業を受ければ消えてしまうルールに抗って、死んだ世界戦線のメンバーである彼は授業をさぼる。
それはいつもと同じ行為だ。
ポケットに突っ込んだ手を温めながら、廊下の角を曲がる。
と、派手な色の髪の毛を背に流し、掲示板を見つめている少女が目に入る。
「何してんだ、お前?」
「あ、ひなっち先輩」
彼女も一応、死んだ世界戦線のメンバーである。
誘導班に属し、重要な役割を任されている。
彼女がその任につくようになったのは最近のことだ。
薄っぺらいスカートから伸びる細い脚を見て、日向は顔を顰める。
「お前寒くないの?」
問いかけると、不思議そうな顔をする。
特に寒いとは感じていないらしい。
日向はユイの隣に立つと、掲示板を眺めた。
「こんなとこで何してんだ。ガルデモに支持はいってねーだろ?」
「ガルデモは、関係ないですよ」
てっきりガルデモのポスターを見ていたのかと思いそう言ったのだが、彼女は首を横に振る。
じゃあ何を、と疑問の視線を向ける日向。
ユイはやや迷ってから、野球部の部員募集ポスターを指差した。
彼女は野球をやりたいのだろうか。
日向には、どうしてユイが野球部のポスターを見ていたのか、分からなかった。
それを問いかけようと顔を向けると、彼女は見たことのない表情で、掲示板をぼうっと見上げていた。
なんだか懐かしいような、それでいて眩しそうな、触れられない綺麗なものを見るような瞳で。
どうして、そんな切なげな顔でポスターを眺めるのだろう。
日向は彼女と同じものを見ようと、掲示板に目を向ける。
ユイが見ているのは、やはり野球部のポスターだった。
よりにもよって、野球の。
野球。くしゃりと歪んだ唇を隠すように、胸の中の痛みを誤魔化すように、日向は声を上げる。
「お前みたいなノーコン女が!?」
「だぁれがノーコンじゃぁあああい!! ていうか、ピッチャーじゃなくてバッターをやりたいんじゃぁぁぁ!」
あまり思い出したくはない、野球の話。
なのに、彼女が寂しそうな顔をしている理由が気になって。
「へー、じゃあ今度、俺が投げてコテンパンに…って、話の途中で殴るなぁあっ!」
「そっちこそノーコンなんじゃないのっ!? 野球やってたのか、こらああぁぁー!」
やってたよ、とは答えられない。
しゅっと飛んできたパンチをかわして、一歩後ろへ飛ぶ。
目を三角にしたユイがむすっとした顔で睨んでいた。
いつものように小柄な身体に力を込めて、狙い定める瞳が煌く。
またプロレスごっこか、と日向は溜め息を吐く。
だけど、ユイが悲しそうな顔をしているよりは、よっぽどマシだと思う。
声を荒げて襲い掛かってくるユイ。
日向はいつものように、彼女との戦いを始める。
雨の音が遠い。
取っ組み合いの中で触れ合った手のあたたかさを、自ら手放すことになるなんて、この時の日向は考えてもいなかった。
■END
10話前のひなユイ。日向とユイがさっぱり掴めません。そもそもABの世界観が掴めません…。(爆死)
ひなユイ、いちゃらぶより、シリアスが見たいのですが、何だか見当たらない気がして…書き殴ってしまいました。
ひなユイをメインに扱っているサイトさんってあるのかな。あんまり本気で探してる訳じゃないから見付からないだけかもしれませんが。
ともあれ、お付き合いありがとうございました。
雨が降っていた。
冬でもないのにその日はやけに冷え込んで、雨に濡れれば風邪を引きそうな寒さだった。
薄暗い灰色の空から落ちてくる雨粒が、校舎の窓ガラスを叩く。
今は授業中で、誰もその雨を気にしない。
ぐちゃぐちゃになったグラウンドが使えないなら、体育館を使えば済む話だ。
降り注ぐ雨は時間が経つにつれて強くなっていき、廊下から見えるグラウンドはあちこちに水溜りができていた。
このグラウンドは水捌けがあまり良くないのだ。
死後の世界のくせに、妙なところで無駄に現実と同じ、無駄で無能だ。
そんなことを考えながら、日向は誰も居ない廊下を歩いていた。
まともに授業を受ければ消えてしまうルールに抗って、死んだ世界戦線のメンバーである彼は授業をさぼる。
それはいつもと同じ行為だ。
ポケットに突っ込んだ手を温めながら、廊下の角を曲がる。
と、派手な色の髪の毛を背に流し、掲示板を見つめている少女が目に入る。
「何してんだ、お前?」
「あ、ひなっち先輩」
彼女も一応、死んだ世界戦線のメンバーである。
誘導班に属し、重要な役割を任されている。
彼女がその任につくようになったのは最近のことだ。
薄っぺらいスカートから伸びる細い脚を見て、日向は顔を顰める。
「お前寒くないの?」
問いかけると、不思議そうな顔をする。
特に寒いとは感じていないらしい。
日向はユイの隣に立つと、掲示板を眺めた。
「こんなとこで何してんだ。ガルデモに支持はいってねーだろ?」
「ガルデモは、関係ないですよ」
てっきりガルデモのポスターを見ていたのかと思いそう言ったのだが、彼女は首を横に振る。
じゃあ何を、と疑問の視線を向ける日向。
ユイはやや迷ってから、野球部の部員募集ポスターを指差した。
彼女は野球をやりたいのだろうか。
日向には、どうしてユイが野球部のポスターを見ていたのか、分からなかった。
それを問いかけようと顔を向けると、彼女は見たことのない表情で、掲示板をぼうっと見上げていた。
なんだか懐かしいような、それでいて眩しそうな、触れられない綺麗なものを見るような瞳で。
どうして、そんな切なげな顔でポスターを眺めるのだろう。
日向は彼女と同じものを見ようと、掲示板に目を向ける。
ユイが見ているのは、やはり野球部のポスターだった。
よりにもよって、野球の。
野球。くしゃりと歪んだ唇を隠すように、胸の中の痛みを誤魔化すように、日向は声を上げる。
「お前みたいなノーコン女が!?」
「だぁれがノーコンじゃぁあああい!! ていうか、ピッチャーじゃなくてバッターをやりたいんじゃぁぁぁ!」
あまり思い出したくはない、野球の話。
なのに、彼女が寂しそうな顔をしている理由が気になって。
「へー、じゃあ今度、俺が投げてコテンパンに…って、話の途中で殴るなぁあっ!」
「そっちこそノーコンなんじゃないのっ!? 野球やってたのか、こらああぁぁー!」
やってたよ、とは答えられない。
しゅっと飛んできたパンチをかわして、一歩後ろへ飛ぶ。
目を三角にしたユイがむすっとした顔で睨んでいた。
いつものように小柄な身体に力を込めて、狙い定める瞳が煌く。
またプロレスごっこか、と日向は溜め息を吐く。
だけど、ユイが悲しそうな顔をしているよりは、よっぽどマシだと思う。
声を荒げて襲い掛かってくるユイ。
日向はいつものように、彼女との戦いを始める。
雨の音が遠い。
取っ組み合いの中で触れ合った手のあたたかさを、自ら手放すことになるなんて、この時の日向は考えてもいなかった。
■END
10話前のひなユイ。日向とユイがさっぱり掴めません。そもそもABの世界観が掴めません…。(爆死)
ひなユイ、いちゃらぶより、シリアスが見たいのですが、何だか見当たらない気がして…書き殴ってしまいました。
ひなユイをメインに扱っているサイトさんってあるのかな。あんまり本気で探してる訳じゃないから見付からないだけかもしれませんが。
ともあれ、お付き合いありがとうございました。
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