神山監督とタムラコータロー監督が好き。
I've Soundという音楽制作集団のぷち追っかけ。
■スタードライバー輝きのタクト/タクワコ
※第十五話『封印の巫女』より。
※第十五話『封印の巫女』より。
persona/第十五話『封印の巫女』
お芝居。それは別の人を演じるということ。他人の人生を描くということ。誰かの仮面を被って、誰かの思いを表現すること。
そう解釈した上で、ワコは演劇部に所属している。
だから、今回の台本にキスシーンが含まれていると発表された時にも、それが必要なことなんだと飲み込めた。
普通、そこは慌てるものかもしれない。
しかし、ワコは動揺したものの、ひどく心を乱されることはなかった。
男の配役がタクトになるにしろスガタになるにしろ、相手役は自分になるのではないだろうか、という漠然としたイメージがあったからだ。
それを傲慢と呼ぶのか、油断と呼ぶのか、ワコ自身にはいまいち判別がつかない。
ともあれワコには危機感というものが薄かった。
配役発表があるその瞬間まで、相手役は自分であると、心のどこかで信じていたのだろう。
発表があったその時に初めて、動揺を超える衝撃が、ワコを襲った。
けれど、自分が選考から外された理由も明らかであった。
島の巫女だから。
それは恐らく正しいのだろう。少なくとも、間違っていると異を唱えるには綻びがなさすぎた。反対する意味もない。そんなことをする必要もない。
胸の奥がもやもやする。理由は分かるけれど、分かりたくない。或いは結論を出したくない。
宙ぶらりんな気持ちを抱いて、けれど苛立ちを消化することもできずに、ワコはタクトを伴って商店街を訪れた。
美味しいアイスクリームでも食べれば気が紛れると思って、ワコはベンチに座った。
炊くとはそんな彼女に背を向けて、ベンチの横で空を眺めながらアイスを舐めている。
不意に、掃除のおばちゃんが、その舞台のことを口にした。
相手はワコちゃんかい、とにやついた声が耳につく。
いいえ、可愛い女の子。
自分でも不思議なくらい不機嫌な受け答え。
タクトは曖昧に顔を引きつらせて、いやあ、と肯定とも否定ともつかない呻きを零すだけ。
その態度に不穏な苛立ちが生まれて、ワコの胸の中で暴れだす。
タクトが異性に人気があるのは仕方ない。
一緒に過ごしていてとても面白いと思うし、優しいとも思う。
青春を謳歌したい年頃の学生として、彼にそういった意味で注目が集まるのも頷ける。
だから、彼がモテるのは、不思議なことではない。
そしたまた、自分がそれに口出しできる程の親密な関係でもない。
けれど、ワコの胸に収まりきらない感情が、衝動となって彼女の身を動かす。
ワコはベンチを立った。
横に立つタクトの手を掴む。
間の抜けた声で振り返る彼を無視した。
僅かに口をつけたアイスが溶けている。
がぶり、とアイスの部分を思い切り齧ってやる。
目を丸くして、呆然とアイスと自分を見比べるタクトに何も言わず、ワコはくるりと踵を返して、歩き出した。
背中に突き刺さる視線も無視する。
後ろから少しだけ聞こえてくる声も知らん顔。
夕焼けの中、頬張ったアイスで頭を冷やす。
どうして怒っているの。
なにに苛立っているの。
大切な人が増えたの?
その、意味は、同じなの?
大切なものを守りたい。大切な人を守りたい。大切な誰かを傷付けたくない。
「……、ぁ」
胸がきゅっとなって、鼻の奥が不意につんとした。
普段、目を逸らし続けてきた気持ちを見つめなおすことは、怖いことだ。
今の楽しい日常を、壊してしまいそうで。
痛みが胸を刺す。
それに気付かないふりをして、ワコは前を見据える。
自分の気持ちに決着をつけてしまったら、もう、戻らないものがある気がしていたから。
たとえそれが仮初の平穏でも、もう二度と帰ってこないかもしれないから。
西日に彩られた世界の中で、目を細めた彼女は、鈍感、或いは愚鈍という名の仮面をかぶった。
■END
結局、早見姉さんと木村さんが好き過ぎてスタドラ全部見てます。
今日はタクワコ的にはちょっと美味しかったです。思わず書き殴る程度には。
双子姉妹(ミズノとマリノ…だっけ)は、結構長いこと出てますね。重要ポジションなんでしょうか。(まあ巫女だからね…)
タクトとワコが仲良くしてれば嬉しいなあー、という哀華さんはひやひやしながら見てます。
2クール目のOP/EDの方が好きです。ていうか2クール目のEDはなかなか好みです。
お付き合いありがとうございました!
お芝居。それは別の人を演じるということ。他人の人生を描くということ。誰かの仮面を被って、誰かの思いを表現すること。
そう解釈した上で、ワコは演劇部に所属している。
だから、今回の台本にキスシーンが含まれていると発表された時にも、それが必要なことなんだと飲み込めた。
普通、そこは慌てるものかもしれない。
しかし、ワコは動揺したものの、ひどく心を乱されることはなかった。
男の配役がタクトになるにしろスガタになるにしろ、相手役は自分になるのではないだろうか、という漠然としたイメージがあったからだ。
それを傲慢と呼ぶのか、油断と呼ぶのか、ワコ自身にはいまいち判別がつかない。
ともあれワコには危機感というものが薄かった。
配役発表があるその瞬間まで、相手役は自分であると、心のどこかで信じていたのだろう。
発表があったその時に初めて、動揺を超える衝撃が、ワコを襲った。
けれど、自分が選考から外された理由も明らかであった。
島の巫女だから。
それは恐らく正しいのだろう。少なくとも、間違っていると異を唱えるには綻びがなさすぎた。反対する意味もない。そんなことをする必要もない。
胸の奥がもやもやする。理由は分かるけれど、分かりたくない。或いは結論を出したくない。
宙ぶらりんな気持ちを抱いて、けれど苛立ちを消化することもできずに、ワコはタクトを伴って商店街を訪れた。
美味しいアイスクリームでも食べれば気が紛れると思って、ワコはベンチに座った。
炊くとはそんな彼女に背を向けて、ベンチの横で空を眺めながらアイスを舐めている。
不意に、掃除のおばちゃんが、その舞台のことを口にした。
相手はワコちゃんかい、とにやついた声が耳につく。
いいえ、可愛い女の子。
自分でも不思議なくらい不機嫌な受け答え。
タクトは曖昧に顔を引きつらせて、いやあ、と肯定とも否定ともつかない呻きを零すだけ。
その態度に不穏な苛立ちが生まれて、ワコの胸の中で暴れだす。
タクトが異性に人気があるのは仕方ない。
一緒に過ごしていてとても面白いと思うし、優しいとも思う。
青春を謳歌したい年頃の学生として、彼にそういった意味で注目が集まるのも頷ける。
だから、彼がモテるのは、不思議なことではない。
そしたまた、自分がそれに口出しできる程の親密な関係でもない。
けれど、ワコの胸に収まりきらない感情が、衝動となって彼女の身を動かす。
ワコはベンチを立った。
横に立つタクトの手を掴む。
間の抜けた声で振り返る彼を無視した。
僅かに口をつけたアイスが溶けている。
がぶり、とアイスの部分を思い切り齧ってやる。
目を丸くして、呆然とアイスと自分を見比べるタクトに何も言わず、ワコはくるりと踵を返して、歩き出した。
背中に突き刺さる視線も無視する。
後ろから少しだけ聞こえてくる声も知らん顔。
夕焼けの中、頬張ったアイスで頭を冷やす。
どうして怒っているの。
なにに苛立っているの。
大切な人が増えたの?
その、意味は、同じなの?
大切なものを守りたい。大切な人を守りたい。大切な誰かを傷付けたくない。
「……、ぁ」
胸がきゅっとなって、鼻の奥が不意につんとした。
普段、目を逸らし続けてきた気持ちを見つめなおすことは、怖いことだ。
今の楽しい日常を、壊してしまいそうで。
痛みが胸を刺す。
それに気付かないふりをして、ワコは前を見据える。
自分の気持ちに決着をつけてしまったら、もう、戻らないものがある気がしていたから。
たとえそれが仮初の平穏でも、もう二度と帰ってこないかもしれないから。
西日に彩られた世界の中で、目を細めた彼女は、鈍感、或いは愚鈍という名の仮面をかぶった。
■END
結局、早見姉さんと木村さんが好き過ぎてスタドラ全部見てます。
今日はタクワコ的にはちょっと美味しかったです。思わず書き殴る程度には。
双子姉妹(ミズノとマリノ…だっけ)は、結構長いこと出てますね。重要ポジションなんでしょうか。(まあ巫女だからね…)
タクトとワコが仲良くしてれば嬉しいなあー、という哀華さんはひやひやしながら見てます。
2クール目のOP/EDの方が好きです。ていうか2クール目のEDはなかなか好みです。
お付き合いありがとうございました!
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