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神山監督とタムラコータロー監督が好き。 I've Soundという音楽制作集団のぷち追っかけ。
■劇場版SPEC ~結~ 漸ノ篇/爻ノ篇
※ネタバレを含みます。一ヶ月で零以外を見た者の感想となります。



さて。私が今回SPECなるドラマに興味を持ったのは、ピンドラクラスタの皆さんがドラマ放映時(再放送時?)悶えていたのが理由です。
録画していたものを見たら面白い。タイミングよく映画公開中、前作の映画に当たる『天』もテレビ放映されました。
やー面白い。あれ次の映画の日、日曜日だぞ? タイミングが良すぎました。見に行ってきました。前後編を一日で消化してきました。


■漸ノ篇

『天』と同様、野々村係長の遺言に目を通す雅ちゃんのシーンから始まった…気がします。
雅ちゃんの傍の建物、あれ国会議事堂でいいんですよね?
『天』を見た時は何故砂漠に居るのだこれはイシスのピラミッド跡か?(※最近遊んだドラクエⅢネタ)などと思ったりもしちゃいましたが、どうやらそうではなかったようです。国会議事堂でしょ?あ、はい。言われて分かりました。どうにかしてほしい、この働かない脳みそ。

野々村係長が亡くなってしまうのは、予告や前作から分かっていたのですが、涙が止まらず…。
瀬文さんがつらい役目を負います。あれは泣く。劇場であちこちからすすり泣きが聴こえました。断じて私だけの泣き声ではありません。ええ、めそめそ。
プロフェッサーJなる新しい悪役の存在がほのめかされ、野々村係長が殉職された後、水芸女(SPEC保持者)が登場し、シンプルプラン=SPEC保持者を殲滅するウイルスを当麻に感染させに来ました。
お前がプロフェッサーJか、と言う問いに対して水芸女は笑っていました。当麻をウイルスに感染させることには成功したものの、自分も当麻にウイルスを感染させられてしまいます。
この水芸女が出てくるまでは、なかなかテンポも良くて面白かったのですが、ここから先はなんか流れが悪いんですよね。

重要な敵として登場したように見えたんですが、当麻の逆襲によりあっさりウイルスに感染。それが不注意レベルの感染に見えかねない。SPEC保持者が死に至る病のウイルスだと知っていながら、何故ああも簡単に感染してしまったのか。不注意にも程がある。感染した直後の水芸女の様子も不自然だった気がします。
だって彼女は当麻に死を届けに来て、ウイルス感染により、自分の死も約束されてしまった。そのわりに、たいして動揺しているように見えなかったんですよね。そこがもやっと感。
もしかしたら、向こうには感染したSPEC保持者を治療する術があったのかもしれない…と思いましたが、それはない。ない筈なんです。水芸女は、ウイルスに感染してしまったから、味方だった筈の何者かに殺されました。
そういえば誰にやられたんだYOU。整理できてないですよ、哀華さん。

あと瀬文さん頑丈すぎません?(笑)
『天』で両足の皮を剥ぐという恐ろしいことがあったかと思いますが、あれ治るほど時間経ったっけ。いやいや。ぜんぜん。のはず。
病室で治療を受けている瀬文さんを怪我人=役立たずと置いていこうとした当麻に文句を言って、ギブスから足引っこ抜いて追いかけようとする瀬文さん、看護婦さんの忠告通り、骨が見える。こわ痛い。

あ、感想は映画本編の時間軸をだいぶ前後してます。すみません。
思い出しながら書いているもので、読みづらいかもですが、お許しください。

『天』…或いは『翔』の時から既にその兆候はあったかもしれないんですけど、やたらCG演出があります。
『天』のタコ足からエイリアンっすか?と突っ込みたかったこの気持ち、わかってもらいたい。いやだってドラマ版のSPECからしたら、突然のタコ足っすよ。超能力とかいうレベルではなく、身体の形状が変わってしまうとか。トランスフォームしちゃうんですよ。『天』でビックリしました。
それまでは人間の形状を保ったままの超能力が使える人たちの話、みたいな感覚だったんですが、タコ足から突然現実味がうすーくなってしまいました。個人的に、ですけど。

とはいえ前編は泣きまくりでしたし、面白かったのです。

■爻ノ篇

問題は後編です。スケールが大きすぎて整理できてないのかもしれないんですけど、後編はとにかく、テンポが悪い。
広げた風呂敷をたたんだんですけど、なんか説明が足りていないような気もしますし、何より明確な救いがないと思うんですよね…。

ガイアの意思(…というか、先人類の意思)に従い、地球の浄化を行おうとするセカイと潤、プロフェッサーJ。
核戦争で人類を滅亡させ地球上を一掃し、先人類の霊魂を当麻のSPECにより実体化(生死の反転というか、時間の巻き戻しなのか…?ソロモンの鍵なくして時間の制御はできん、みたいなことをセカイが『天』で言ってた気がする。)させようという企みは当麻によって阻まれる。
途中いろいろあったけど。潤を守ろうとするアオイケ、止まった時間の中で足掻く瀬文とか。

SPEC保持者戦隊VSガイアの意思は見てみたかった。ああいう動きの少ないCG演出シーンばかりになるなら、やってくれたほうが見応えがあったように思う。何より、当麻と共に道を決めたSPEC保持者たちの見せ場があまりなかったのが残念。左利きは罵られて(喜んで)終わっていく、というギャグ要員だったのが面白いんだけど勿体無い。どシリアスなシーンなのに、ギャグやネタに枠を使いすぎではないかなあ。その分をシリアス、ストーリーにまわしてほしかった。
あの全面対決っぽいところで、左利きと当麻の頭脳プレーによる一撃があったら、それだけでだいぶ物語の味は締まったと思う。(あとNL厨にもよろこばれたかもしれない。新しい組み合わせの可能性、或いは瀬文さんが居るんだから引っ込んでろ変態!という戦いの意志が燃え上がったやもしれない。)

あと想像の話になりますが、後編はほぼ、あの塔の上?から役者が動かない。動かないので、演技が大変だったんじゃないか…なあ…。CG演出だから、すべて想像の上の演技だったはず。うわー難しい。高度なパントマイム。違うか。演劇界に明るくない元・演劇部員です、おつかれやまー。
だって考えるだけで…難しい…。何もないところで、あの演技。集中力が要りそうですね。銃で撃たれるとか、瓦礫の下敷きになるとか、爆発に巻き込まれるとか、そういう現実味のある死ではなく、超常現象による死と向き合い、戦わなければならないのですよね。役者さんてしゅごい。すごい。

なんやかんやで、当麻がセカイとプロフェッサーJも取り込み、そのまま自分の死をもって扉を閉じ、冥府へすべての先人類を封じようとします。
が、セカイによって身体の自由を奪われた当麻は自殺することもできない。
「瀬文さん……瀬文さん!!」
必死に瀬文を呼ぶ。と、あの高い塔をよじ登ってきたのか、瀬文さんが登場。満身創痍、まずあの皮を剥いだ足とかどうなっちゃってるの。頑丈とか回復力が異常とか、そういうSPECですか瀬文さん?と茶化したくなるレベルの根性ですが、瀬文さんがSPEC保持者だと仮定した場合、当麻との支え愛の意味が変質してしまうので、それだけはないと思います。彼はただの人間です。これは断言したい。

当麻の仲間はSPEC保持者、ただの人間、どちらも居ます。
ただ、その手を握って隣を歩いてくれるのは、人間である瀬文だけだったと思うんです。彼女の隣を歩くのは、人間でなければいけなかった。SPEC保持者とは、手を繋いで歩けない。当麻はSPEC保持者の頂点に立つ躯体であったし、彼女自身の意志・資質が、同じ苦しみを抱えるSPEC保持者たちへの甘えを許さなかった。
だから、今まで共に未詳で事件を追いかけてきたSPECを持たざる者、瀬文だけが、当麻が心底から頼れる存在であったのだと思う。

先人類を押し込めることに息も絶え絶えな当麻の残酷な願い。
「瀬文さん…撃ち殺してください」
信用してますよ、と言った当麻の姿が脳裏を過ぎる。
「…っ……」
野々村係長を撃ったその手が。
「はやく…瀬文さん!」
また、大切な人の命を奪うため、撃鉄を引く。
「……、っ!!」

瀬文の手によって死を迎えた当麻は、先人類の亡者を引き連れて倒れる。
たぶんここで世界線が変わった。…瀬文さんだけが、世界を移動したのかな。
刑事が何人もやってきて、瀬文さんをに暴行をくわえる。どうも瀬文さんは、移動した世界では『刑事殺し』をやらかしたらしい。刑事=当麻のこと…ではないと思われる。たぶん…。
何人殺せば気が済むんだ、と刑事が言っていたので、何人かは殺してるみたいですが、警察関係者だけなのか一般人も含まれているのか、詳細はさっぱりでした。

そこから当麻が死んだ世界…なのか、居なかった世界なのか分からないんですが、その世界の様子が流れます。
過去に当麻が居た筈の日常には彼女の姿はなく、当麻の存在を欠いたまま動き続ける世界。
たぶん当麻が居なかった世界になったのでしょう。人々の記憶は改変(というと語弊があるか。世界線が変わったから、改変したわけじゃない。)され、繋がりは変わり、左利きと美鈴ちゃんは交際中(新しい世界で一番ビックリしたこと。笑)で、瀬文さんと野々村係長は会ったことがあるのかさえ分かりません。
当麻の存在は誰から認識できなくなっただけで、存在はしていたのかもしれません。
潤ちゃんは当麻の存在を感知していたようにも見えました。(自ら手放した風船を行く先を見ていた。)
瀬文さんは傷だらけのまま投獄された様子。

最後に。空を漂っていた当麻の霊体が瀬文さんの傍へ舞い降りて(落ちて)きた時、瀬文さんはそれを感知したのか、彼女の手を掴みます。
当麻は驚いた様子でした。彼女が実体化したのかどうかは分かりません。瀬文さんもどうなったのかは分かりません。
ただ。EDの渋谷のシーンで、端のほうに、瀬文さんと当麻が手を繋いで歩いていた、という感想を見かけました。
私は気付きませんでしたが、もしそういうシーンが本当にあったのなら…どこか別の世界線でもいい、瀬文さんに救いを与えてやってほしい。

瀬文さんは世界線を乗り越えても、前の世界のことを覚えている。
当麻のことを忘れられない。瀬文さんはずっと、誰からも裁かれない。真実は証明できない。もはやそれは彼の頭の中だけにしか、存在しない。
それは生きている間中、ずうっと続く許されぬ罪だ。誰にも裁けない。つらすぎる。

せぶとま好きとしては、せぶとま成分が不足してる上に報われない救われない悲しみ…な気持ちが大きいですが、物語としてはそれなりに畳んだ気がします。
終わり方がちょっと残念だった…(主に瀬文さんへの)救いが、あまりにも…なさすぎる。ので、もやっと感はあります…。

あと哀華さん理解できてないんで、見当違いなこと言ってるかもしれません。
ぱっと思いつく理解できないことは、雅ちゃんなんですよね。
世界線は三つあったのか?と言う疑問。

冒頭、雅ちゃんに宛てた係長の遺書から映画はスタートしました。
そこにあったのは、崩れかけた国会議事堂、砂塵の中に佇む雅ちゃん。
これは、①ガイアの意志による滅亡から命からがら生き延びた人間たちの世界なのでしょうか。
当麻が先人類を連れて冥府へ落ちた世界は結局どうなったのか分かりませんが、②ドラマ版からの舞台・ガイアの意志と戦った世界があった。これは瀬文が元居た世界です。
最後に、③瀬文が世界線を超え辿り着いた、当麻の居ない世界
この三つの世界線が存在しているように思えるんですが、だとしたら雅ちゃんが居たあの世界①は、どこの時間軸というか、何がどうなってああなってしまったのか…。

雅ちゃんに宛てた野々村係長の遺書にあった『未詳の戦いを知っておいてほしい』とか、世界線を越えて伝えることは不可能なはずなので、届かないメッセージというか、盛り上がるからという理由だけで、あの世界線から映画を始めたと思えてしまうんです。
映画のスタートとエンドで世界線が繋がってないなら、あのスタートの世界線①は要らないんです。だって届かないメッセージなんです。あの世界線で生き残った雅ちゃんが、あの世界線に生きていた(生きている)当麻と瀬文の足跡を見つめるとかなら分かるんですけど、エンドの世界はそうじゃない。

平行世界があっても構いません。ただ、私は始まりと終わりの世界線が違うことに納得できないのです。
その世界で生きている者たちの話を描いてきた筈なのに、積み重ねてきたことが無になった…だって違う世界へ移動してしまったら、それは同じ姿かたちをした別人です。経験が違う、記憶が違う、人生(みち)が違う。
スタートと同じ世界線で閉めなければ、私が(そして恐らくはモヤモヤしている視聴者の皆さんが)見届けたかったSPECの結末は、納得しにくいものになるのではないでしょうか。

…まあ、書きながら整理したんで、ぐっちゃぐちゃですけど、おおまかな感想はこんなところですね。
面白かったけど納得いかないかなあ、という感じです。

「…俺に。お前は、撃てん」

いつか。そう言って銃を下げた瀬文さんに、当麻を殺させたこと。
瀬文さんが、あまりにも報われなさ過ぎて、私は悲しい…。
一番つらい役目を担ったのは彼かもしれない。

大切な人を殺してまでして世界を救っても、その世界はもうないんです。
つらさMAXなんじゃこりゃ。私は悲しいことも苦しいことも辛いこともハッピーエンドのエッセンスだからこそ美味しいと思えるわけで、悲しいこと苦しいこと辛いことは苦手なのです。最後に報われるからこそ耐えられるんですよう。うわーん瀬文さん……。

「当麻。来世で待ってろ」

でしたっけ…撃ち殺す時に、瀬文さんが言ったのは。
このふたりの関係は言葉じゃ表現できないです。愛が一番近いかもしれないですが、そんな言葉でおさまらない。


総評を一言で表すと、ドラマが面白かった。映画『結』はむずかしい。というところです。

ともあれSPEC製作の皆様、楽しい時間をありがとう。
そして感想に目を通してくれた方にも、ありがとう。

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